M&A業界に未経験で転職できる?M&A仲介の仕事・登録制度・入社前の確認点
結論(先に3行で)
- M&A仲介会社の求人には「未経験歓迎」と書かれたものがあり、M&Aキャリアは公式に「M&A未経験」からの転職を扱うと書いています。
- 中小企業庁のM&A支援機関登録制度には、2026年3月9日時点で3,399件(法人2,606件・個人事業主793件)のFA・仲介業者が登録されています。
- 入社前は、給与の固定部分と成果連動部分の割合、目標の決め方、労働時間の扱いを書面で確認します。年収が上がるかは成果と会社の制度次第です。
この記事でやること:M&A仲介の仕事の流れを知る → 応募先が登録制度に載っているかを中小企業庁の公表資料で確認 → M&Aを扱う窓口で給与体系を聞く。
M&A仲介はどんな仕事?
M&A仲介は、会社や事業を譲り渡したい売り手と、譲り受けたい買い手の間に立って、M&Aの成約を支援する仕事です。一般的な流れは、売り手候補への提案・相談、仲介契約、企業の情報整理と資料作成、買い手候補の探索と打診(社名を伏せた資料での打診、関心を示した相手への秘密保持契約と社名開示)、トップ面談、基本合意、デューデリジェンス、最終契約、クロージングです。
中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)」には、ネームクリア(社名開示)の前に売り手の同意と秘密保持契約が必要であること、仲介者が両者の間に立つ場合は利益相反に注意して説明すべきことなどが書かれています。仕事を理解するうえでも一度目を通しておくと役立ちます。
M&A支援機関登録制度とは?
中小企業庁は2021年8月に「M&A支援機関登録制度」を作り、登録したFA・仲介業者を公表しています。登録には中小M&Aガイドラインの遵守の宣言が必要で、事業承継・M&A補助金(専門家活用枠)でFA・仲介の手数料が補助の対象になるのは、登録された業者に限られます。2026年3月9日の公表では、登録数は3,399件(法人2,606件、個人事業主793件)でした。
応募先の会社が登録されているか、登録された手数料体系がどうなっているかは、中小企業庁の公表資料で確認できます。
未経験でも応募できる?
求人には「未経験歓迎」と書かれたものがあり、M&Aキャリア(エムホールディングス株式会社)は公式ページで「M&A未経験転職」を扱うと書いています。営業で成果を出した経験、金融機関での法人取引、会計の知識、業界知識(医療・IT・建設など)は、仲介の仕事で説明しやすい経験です。
一方で、成約までの期間は長く、売り手の経営者と長期間にわたって信頼関係を作る仕事です。「すぐに高年収」と考えて入ると、想定と違うことがあります。
年収はどう決まる?
公的統計では、job tag「M&Aマネージャー、M&Aコンサルタント/M&Aアドバイザー」が1,134.6万円(39.4歳)ですが、経営コンサルタントなどと同じ値の広い統計区分です。M&A仲介会社の給与は、固定給に加えて成約に連動する賞与(インセンティブ)がある体系が多いと言われますが、割合や計算方法は会社ごとに違います。
| 確認すること | 理由 |
|---|---|
| 固定給と成果連動部分の割合 | 成約がない期間の収入が分かる |
| 成果連動の計算方法と支払時期 | 成約から支払までの期間、按分の方法 |
| 目標(ノルマ)の決め方 | 達成できない場合の扱い |
| 労働時間の扱い | 裁量労働制・固定残業代・管理監督者のどれか |
| 試用期間と評価の期間 | 早期の評価の仕組み |
2024年4月に専門業務型裁量労働制の対象業務に加わったM&Aアドバイザーの業務は「銀行又は証券会社における」業務と書かれています。M&A仲介会社の労働時間の扱いは、労働条件通知書で確認してください。
M&A仲介の仕事に向いている人は?
M&A仲介の仕事は、会社を譲り渡すかどうかという、経営者にとって大きな決断に長く付き合う仕事です。一般に、次のような力が求められると言われます。
- 経営者と信頼関係を作る力:売り手の経営者は、会社を手放すことに迷いや不安を持っていることが多い
- 粘り強さ:成約までの期間が長く、途中で話がなくなることもある
- 数字を読む力:決算書を読み、会社の価値や課題を説明できる
- 調整力:売り手・買い手・専門家(弁護士・税理士・会計士)の間を調整する
- 誠実さ:仲介は双方の間に立つため、情報の扱いと利益相反に注意が必要
中小M&Aガイドライン(第3版)は、仲介者が両者の間に立つ場合の利益相反への注意や、相手方の手数料体系の説明などを求めています。仕事の倫理の面でも、ガイドラインの内容を理解しておくことが役立ちます。
入社後はどんな研修がある?
未経験者を採用する会社では、入社後に研修(会計・税務・法務の基礎、M&Aの手続き、営業の方法など)を用意していることがあります。研修の内容と期間、最初の担当案件の持ち方(先輩と組むか、1人で持つか)は会社によって違うため、面接で確認します。未経験で入る場合は、研修や先輩からの支援の仕組みがあるかどうかが、最初の時期の働きやすさを大きく左右します。
M&A業界の転職でよくある誤解は?
「M&A業界に入れば誰でも高年収になる」というのは誤解です。給与に成果連動部分が多い会社では、成約できない期間の収入は固定部分だけになります。また、仲介会社とFAS、事業会社のM&A担当では、仕事の内容も給与の仕組みも違います。求人を比べるときは、会社の種類(仲介・FAS・事業会社)と給与の仕組みを分けて確認してください。
M&A仲介の求人を比べるときの表は?
M&A仲介会社の求人を比べるときは、次の項目を1つの表にまとめると違いが分かりやすくなります。会社の種類(独立系・金融機関系・業界特化型など)、M&A支援機関登録制度への登録の有無、固定給の額、成果連動の賞与の計算方法、目標の決め方、研修の内容と期間、案件の獲得の方法(自分で開拓するか、会社から割り当てられるか)、労働時間の制度、勤務地です。特に、案件の獲得を自分で行う割合が高い会社では、営業の負担が大きくなるため、未経験で入る場合は事前に確認しておくことが大切です。
この記事のまとめは?
M&A仲介には未経験歓迎の求人もありますが、成約までの期間が長く、経営者と信頼関係を作る仕事です。中小企業庁の登録制度には3,399件(2026年3月9日時点)が登録されており、応募先の登録の有無と手数料体系を公表資料で確認できます。給与の固定部分と成果連動部分、目標の決め方、研修、労働時間の制度を書面で確かめてから判断してください。
次にやることは、M&A仲介・FAS・事業会社のM&A担当の違いを理解したうえで、自分が目指す会社の種類を決めることです。仲介を目指すなら、中小M&Aガイドラインに目を通し、応募先の登録の有無を確かめてから面談に進んでください。
M&Aを扱う窓口は?
| サービス | 対象・得意領域(公式の記載) | 対応地域・拠点 | 求職者の料金 | 運営会社 | 許可番号 | 公開データ(就職者数・離職) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| NewMA | M&A・コンサル業界のハイクラス転職。M&A仲介・FAS・ITDX/戦略/人事組織コンサル・経営企画・PEファンド等の求人 | 所在地:大阪市中央区淡路町。ほかの拠点・オンライン面談の可否は公式で要確認 | —(公式で要確認。法律上、求職者からの手数料は原則禁止) | NewMA株式会社 | 27-ユ-304092 | —(人材サービス総合サイトで要確認) |
| M&Aキャリア | M&A業界(M&A仲介会社など)への転職相談。M&A未経験からの転職を扱う | 所在地:東京都港区南青山 | —(公式で要確認。法律上、求職者からの手数料は原則禁止) | エムホールディングス株式会社 | —(許可番号を公式ページで確認できず。人材サービス総合サイトで要確認) | —(人材サービス総合サイトで要確認) |
| 年収エージェント | 営業・IT・マーケティング・コンサルなど。紹介記事では「無形商材×営業職とコンサルティング職を中心」、強い領域にコンサル/M&A | —(公式で要確認) | 無料(公式に「相談から転職決定まで一切費用はかかりません」と記載) | StockSun株式会社 | 13-ユ-317621 | —(人材サービス総合サイトで要確認) |
各社公式・厚労省の公開情報で 2026-11-02 に確認。「—」は確認できなかった項目です。
M&Aキャリアは許可番号を公式ページで確認できなかったため、登録前に厚生労働省「人材サービス総合サイト」で運営会社名から検索してください。NewMAは公式ページに許可番号27-ユ-304092を載せています。FASとの違いはFAS・M&Aアドバイザリーへの転職をご覧ください。
よくある質問
- M&A業界に未経験で転職できる?
- 「未経験歓迎」の求人はあります。営業の成果、法人取引、会計知識、業界知識などを説明できると話が進みやすくなりますが、採用されるかは応募先の判断です。
- M&A仲介の年収は高い?
- job tag のM&Aコンサルタントは1,134.6万円ですが、広い統計区分の値です。仲介会社は成果連動の賞与がある体系が多いと言われ、成約の有無で大きく変わります。
- M&A支援機関登録制度とは?
- 中小企業庁が2021年8月に作った制度で、中小M&Aガイドラインの遵守を宣言したFA・仲介業者を登録・公表しています。2026年3月9日時点で3,399件です。
- M&A仲介会社を選ぶときの確認点は?
- 登録制度への登録、給与の固定部分と成果連動部分、目標の決め方、労働時間の扱いを書面で確認してください。
出典・確認したページ
- 中小企業庁「M&A支援機関登録制度」登録FA・仲介業者の公表(2026年3月9日):登録数 3,399件(法人2,606件・個人事業主793件、2026年3月9日時点)、制度は2021年8月創設、手数料体系の公表(2026-11-02確認)
- 中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)」(令和6年8月):第1章Ⅴ「仲介者・FAの手数料についての考え方の整理」:手数料の種類(着手金・月額報酬・中間金・成功報酬)、レーマン方式及び最低手数料、成功報酬の算定基準(譲渡額・移動総資産額・純資産額)(2026-11-02確認)
- 中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)」についてのQ&A資料:手数料と提供業務(M&Aのプロセスごと)の説明、相手方の手数料体系(報酬率・報酬基準額・最低手数料・発生時期)の説明、利益相反、テール条項(最長でも2〜3年以内の目安、紹介した相手に限定)、登録支援機関の遵守時期(2026-11-02確認)
- 職業情報提供サイト(job tag)「M&Aマネージャー、M&Aコンサルタント/M&Aアドバイザー」:年収1,134.6万円・39.4歳(経営コンサルタントと同じ値)(2026-11-02確認)
- 厚生労働省 確かめよう労働条件「専門業務型裁量労働制」:対象20業務(システムコンサルタント、証券アナリスト、銀行・証券会社におけるM&Aアドバイザーの業務=2024年4月追加、公認会計士、中小企業診断士など)、本人同意の協定(2026-11-02確認)
- M&Aキャリア 公式:M&A業界への転職相談、運営 エムホールディングス株式会社(東京都港区南青山)、M&A仲介会社の求人(許可番号の記載は確認できず)(2026-11-02確認)
- NewMA 公式トップ:M&A・コンサル業界のハイクラス転職支援、M&A仲介・FAS・ITDX/戦略/人事組織コンサル・経営企画・PEファンド等の求人、許可番号 27-ユ-304092、大阪市中央区淡路町(2026-11-02確認)
- 厚生労働省「人材サービス総合サイト」:職業紹介事業者の許可番号・手数料表・就職者数・離職状況の公開先(2026-11-02確認)
この記事は 2026-11-02 時点で公的機関・各社公式ページを確認して書いています。制度や各社の条件は変わることがあるため、申込み前に公式ページで最新情報を確認してください。体験談・口コミは掲載していません。